名門大洋フェリーきょうと乗船記｜北九州 新門司〜大阪｜船旅ブログ

18時30分、大阪府大阪市「フェリーターミナル駅」。
今日乗る船は名門大洋フェリー「フェリーきょうと」。
今夜は大阪南港から新門司港まで12時間30分の船旅を体験します。
フェリーターミナル駅から乗り場までは、長い通路で直結していて、徒歩で3分ほど。
駅の改札を出て左手に、その通路はまっすぐ続いていました。
通路の先は2階の乗船待機所につながっており、乗船手続きの窓口は1階にありました。

手続きを終え、2階の待機所へ向かいました。
すでに多くの乗客が集まっていて、ターミナル内の座席はほとんど埋まっていました。
しばらくすると、乗船開始のアナウンスが流れ、ざわついていた待機所が一気に動き出しました。
乗客たちは次々と立ち上がって乗船口へと向かい、私もその流れに続きました。
乗船口で券を読み取ってもらい、いよいよ船内へ。

客室は2番目に安い相部屋「コンフォート」
名門大洋フェリーで初めて導入された客室です。
この部屋が生まれた背景には、2021年当時の感染症の影響があります。
本来の設計にはなかったのですが、個室指向の高まりを受けて急遽作られた部屋です。
大部屋に仕切られたベッドが14台。
縦に長い設計で、ベッドの上でも立ち上がって着替えられるのが特徴です。
最安の「ツーリスト」部屋は二段ベッドなので、ベッド上で立ち上がることができません。
その点、この部屋は圧倒的に快適。
部屋に荷物を置き、展望レストランへ向かいました。

19時10分、展望レストランに到着。
レストランはバイキング方式。
最初に料金を支払えば好きなだけ料理が食べられます。
揚げ物、焼きそば、焼きうどん、焼きカレー。
炭水化物のオンパレード。
料理を手に取り、席に着きました。
窓側の座席に座り、出港前の風景を眺めながら食事をしました。
時刻は19時45分。
そろそろ出航の時間なので、食事を終えて展望デッキへ向かいました。

19時50分、定刻通り大阪南港を出航。
ふと岸の桟橋を見ると、作業員の方たちが建物内へ戻っていく姿が見えました。
その中の一人が立ち止まり、こちらを振り返りました。
帽子を外し、一礼。
礼儀正しい作業員さんを目の前に、私ができることは手を振りかえすことぐらいです。
船は静かに、大阪南港を離れていきました。

20時、7階の大浴場へ向かいました。
この船には、露天風呂付きの大浴場があります。
せっかくだから入ろうと思ったのですが、露天風呂は混んでいました。
仕方なく、大浴場だけで温まることに。
お風呂から上がり、ドライヤーで髪を乾かしたあとプロムナードへ向かいました。

6階のプロムナードに到着。
プロムナードは横長のテーブルに椅子がずらりと並べられている空間。
思っていたよりも人が多く、にぎやかな雰囲気でした。
ちょうど端の席が空いていたので、そこに腰を下ろしました。
プロムナードでは、カップ麺をすすって軽く食事をとる人や、ビール片手に晩酌を楽しむ人など、
それぞれが思い思いのスタイルで、船旅の夜を楽しんでいました。
時刻は21時51分。
そろそろ最初の橋を通過するので、展望デッキへ向かうことにしました。

21時、船は明石海峡大橋を通過。
展望デッキには、多くの乗客が来ていました。
見上げると、ファンネルのすぐ上を橋がかすめるように見えました。
ですが、実際は2メートルほどの余裕があるらしい。
神戸の街の灯りを背景に、橋の姿は一段と美しいです。
しばらくその光景を眺め、満足したところで部屋へ戻り早めに就寝しました。

00時17分、瀬戸大橋を通過。
橋の上を走っている車道を照らすオレンジの街灯。
とても綺麗です。
それにしても、風が強いです。
明石海峡大橋の時も強かったのですが、さらに風が強くなってきました。
今日の航海はずっと冷たい風が吹き付けてます。
次に通過する橋は02時50分頃。
それまで時間があるので、船内へ戻り冷えた体を温めるため、シャワールームへ向かいました。

7階にあるシャワールームは個室。
節水式の蛇口は、捻ると数秒で止まる仕組み。
ドライヤーで髪を乾かし、部屋を出ました。
シャワーを浴びてすっきりした後、自販機で三ツ矢サイダー（180円）を購入。
部屋にパソコンを取りに行き、閉店したレストランへ向かいました。

閉店後のレストランは、一部がフリースペースとして開放されていました。
次の橋の通過まで、まだ1時間ほどあります。
せっかくなので、ここで少しだけパソコン作業をすることにしました。
誰もいない静かな空間なので、集中するにはもってこい。
しばらく作業に没頭し、ふと時計を見ると02時34分。
そろそろ橋が近づく頃。
船内にある位置情報モニターを確認し、展望デッキへと向かいました。

02時37分、来島海峡大橋を通過。
ライトアップされいるわけではなかったのですが、先ほどの橋と同じ様に、
道路を照らす橋の上の照明が、暗闇の中で際立ちます。
一直線に並ぶオレンジの光が綺麗。
左側には三日月で妙に絵になる光景でした。
風は少し落ち着いてきました。
朝食まではあと4時間くらい。
部屋に戻り、静かに眠りにつきました。

06時36分、4分早くレストランがオープン。
夕食の時よりも脂っこい料理は少ないものの、種類は豊富です。
ひじき煮、きんぴら、白身魚、ボイルされたウインナー、卵焼き。
お味噌汁にカレー、バターロールや食パンも並んでいます。
料理を手に取り、席に着きます。
窓の外はもう明るくなっていたので、景色を眺めながら食事を楽しみました。
食後、部屋に戻り歯を磨いた後、展望デッキへ向かいました。

展望デッキへ出ると、光輝く海が広がっていました。
「眩しいけどめっちゃ綺麗〜」といった感想。
朝日が昇り、海面が金色に染まっていました。
水平線まで伸びる船の航跡と、朝陽に照らされた光の道。
思わず見惚れてしまいました。
気分転換ができたので、部屋に戻りました。

下船15分前、アナウンスが流れました。
「まもなく北九州新門司港へ到着いたします」
「今一度、お荷物やお手回品をお確かめの上、下船の準備をお願いいたします」
アナウンスが終わると、エントランスには乗客たちが集結。
私も部屋に戻り、荷物をまとめながら、下船の準備を始めました。

08時30分、下船開始。
船内には軽快な音楽が鳴り響いていました。
乗客たちが流れるように下船口へ向かいます。
私もその流れに乗って、フェリーを降りました。
ターミナル前には、JR門司駅・JR小倉駅行きの無料連絡バスが待機していました。
思った以上に利用者が多く、バスの座席は後方まで満席でした。
08時43分、すべての乗客が乗り込むとバスは小倉・門司へ向け出発しました。

09時26分、JR小倉駅前に到着。
新門司港からバスで約40分ほどかかりました。
この距離を無料で移動できるのはありがたいです。
小倉駅から博多までは、新幹線で16分、区間快速で1時間27分。
利便性も良い上に安いので、コストパフォーマンスが非常に良いです。
今までは新幹線や飛行機が私の中では主流だった大阪から福岡の移動。
こうした旅のスタイルも、またひとつの選択肢として広がりました。

■船乗り場：大阪南港フェリーターミナル
■住所：〒559-0032大阪府大阪市住之江区南港南2丁目2-24
■営業時間：年中無休 9:00~19:50
■電話番号：06-6613-1402

■船乗り場：新門司港フェリーターミナル
■住所：〒800-0115 福岡県北九州市門司区新門司1丁目6
■営業時間：年中無休 9:00~19:50
■電話番号：093-481-1780

■名称：明石海峡大橋(アカシカイキョウオオハシ)
■開通日：1998年4月5日
■場所：兵庫県の神戸市〜淡路島の間
■橋の長さ：全長3,911m

■名称：瀬戸大橋(セトオオハシ）
■開通日：1988年4月10日
■場所：四国〜本州の間
■橋の長さ：全長12,300m

■名称：来島海峡大橋(クルシマカイキョウオオハシ）
■開通日：1999年5月1日
■場所：愛媛県今治市〜大島の間
■橋の長さ：全長4,105m