阪九フェリーひびき乗船記｜北九州新門司〜泉大津｜船旅ブログ

15時30分、福岡県北九州市「JR小倉駅」。
本日乗船するのは、阪九フェリー「ひびき」。
目的地は大阪南港。
約12時間30分の船旅です。

小倉駅に来た理由は、船乗り場がある「新門司港」行きの無料送迎バスに乗るため。
バスはまだ来ていなかったので、近くのカフェでひと息つきました。

16時04分、連絡バスがやってきました。
今日はツアー客も乗船するようで、バスの車内はにぎやかな世間話で盛り上がっていました。

16時10分、定刻通りにバスは発車。
バスは北九州の街を抜け、船が待つ港へと向かいました。

途中、門司駅からの乗客を乗せるため停車。
門司駅からの乗客を乗せた後、再び港へと走り出しました。

16時45分、新門司港第2ターミナルに到着。
ターミナルの建物は、阪九フェリーのファンネルマークを模したデザインでした。
ちなみに、神戸行きのターミナルは奈良の平城京をモチーフにした建物。
阪九フェリーのターミナルはどれも個性的な外観です。
窓口へ向かい、手続きを済ませました。

個室を予約していたので、部屋の鍵となるカードキーも受け取りました。
赤いカードキーは予想以上に薄くて、ちょっと頼りない感じ。
乗船券とカードキーを持って、2階の乗船口へ向かいました。

乗船口を進むと、眺めのいいフロアが広がっていました。
窓の向こうには、神戸行きの第1ターミナルが見えます。その存在感はやはり圧倒的です。

以前、阪九フェリーの「せっつ」や「やまと」を利用したときには、あのターミナルをもっと間近で見ることができました。

奈良時代の平城京にある大極殿を模した建物のデザインは、見上げるほどの迫力があります。

乗船口では、係員の方が待機していました。
乗船券を差し出すと、丁寧に半券が返され、そのまま通路を進み乗船。
船内マップで確認すると、私の部屋は最上階でした。

エレベーターで向かい、部屋の前に到着。
カードキーを差し込むと、ロックが解除されました。

客室は最安の個室「デラックスシングル」。
1人専用の完全個室です。

寝具は枕、布団、マットレスの3つ。
作業机、エアコン、洗面台、テレビまで完備。
アメニティー類も豊富で、ロゴ入りタオルや、お茶の粉末2本、歯ブラシセットなどが用意されていました。

部屋はとても充実していて、快適な空間です。

部屋に入り、テレビをつけてみましたが、映像が途切れることがありました。
電波が悪いのか、出港前にもかかわらずこの状態。

客室は最上階の個室で、窓がなく外の景色は見えません。

また、音漏れが少し気になり、隣の部屋のテレビ音や、廊下を歩く音が聞こえてきました。
個室と思って期待していた分、マイナス面が目立ってます。

とはいえ、個室なので自分だけの空間が確保されている点はありがたいです。
静寂ではないものの、眠るには問題ない環境です。

荷物を置いた後、船内を軽く歩いて展望デッキへ向かいました。

展望デッキには、白いテーブルと椅子。
固定されているので風邪で飛ばされる心配はなさそうです。

出港5分前、船尾部分では船が動き出す準備が始まっていました。
岸と船をつないでいた太い縄が外され、可動橋がゆっくりと切り離されていきます。

縄が外されたタイミングで、船が動き出しました。

17時30分、船は定刻通りに新門司港を出航。
岸から離れていく風景をしばらく眺めたあと、6階にある展望ルームへ向かいました。

展望ルームは、船の進行方向が一望できる特別な空間。
船首部分に位置しているので、そこまで歩いて行くのに1分ほどかかりました。

6階にある展望ルームに到着。
明るく活気のある船内とは少し雰囲気が異なり、
薄暗く、静かな空間でした。

窓の外には、船の船首部分が広がり、まるで自分が船を操縦しているかのような気分になります。

今日は快晴。
空も海も澄み渡り、視界いっぱいに広がる青がとても印象的でした。

景色を堪能したあと、同じフロアにあるレストランへと向かいました。

18時ちょうど、6階のレストランに到着。
レストランの近くの席では、持参したお弁当を広げている乗船客の姿も見られます。

大きな窓の前には机が並んでおり、外の景色を眺めながら食事ができます。
私は食料を持参していないので、レストランで食事をいただきました。

このレストランはカフェテリア方式。
棚にずらりと並んだ料理をトレーに乗せ、最後に会計を済ませてから席に着くスタイルです。

手を洗ったあと、プレートを手に取って料理を取りました。
レーンは手前から順に小鉢類、サラダ、デザート。
奥へ進むと、大皿に盛られたお惣菜が並んでいました。

ご飯と汁物は、サイズを口頭で伝えるシステムになっていました。
カウンターの手前にはサイズ表も貼られていたので、好みの量を選択して注文できます。

お会計を済ませた後、窓側の席に座りました。
沈みかけた夕日に照らされた海を眺めながらの食事です。

食事をしていると、船長からの挨拶放送が流れました。
その内容は、船の運行スケジュールと明日の大阪の天気、
乗務員の紹介挨拶などでした。

食事を終えた後、部屋に戻ってお風呂の準備を整えました。

18時30分頃、7階の大浴場に到着。
暖簾をくぐった先に、広々とした大浴場と、個室タイプのシャワールームが並んでいました。

大浴場でゆっくりと体を温めたあと、露天風呂へと移動。
静かな海を眺めながら、ただ湯に浸かる時間は、本当に贅沢なひとときでした。

洗面台にはドライヤーが並べられており、使いやすく整えられていました。
身支度を済ませて浴場を出たあと、部屋へ戻る途中に自動販売機でライチ味の炭酸ジュース（180円）を1本購入。

部屋に戻ってからは、そのジュースを飲みながら、少しだけパソコン作業に取り組みました。
そして22時40分、展望デッキへ向かいました。

22時58分、船は来島海峡大橋の下を通過。
あたりはほとんど真っ暗で、橋の全体像はぼんやりとしか見えません。
かろうじて、橋の上を照らす道路用の街灯が浮かび上がっている程度でした。

夜の海の上は、想像以上に冷え込みます。
橋を眺めたあと、部屋に戻りました。

ここで、ちょっとした緊急事態が発生。
カードキーをかざしても部屋の扉が開かず、何度試しても無反応。
裏返してみたり、角度を変えてみたりしましたが、全く反応がありません。

仕方なく、5階のロビーへ。
案内所は閉まっていましたが、案内看板に「カードキーの磁気不良の場合は電話で係員を呼んでください」とあり、受話器を取って事情を伝えると、すぐに乗務員が来てくれました。

「スマホの磁気でカードが壊れることがあるので、できるだけ一緒に持ち歩かないように」とのこと。
どうやら、このカードキーは磁気にかなり弱いようです。

私はスマホと財布をポケットに入れていたので、
カードキーがその影響を受けてしまったようです。

今の時代、スマホが普及しているので、さすがに改善してほしいポイントではあります。

新しいカードを受け取り、部屋に戻ると無事にロックが解除されました。
ちなみに、このカードキーは下船後、記念に持ち帰っても良いそうです。

部屋にあった電気ケトルでお湯を沸かし、お茶タイム。
机の上には湯呑みと、粉末のほうじ茶が置かれていました。

粉末タイプのお茶なのでお湯に溶けやすく、すぐに飲めました。
残っていたパソコン作業を終えた頃には、時刻は0時50分。

少しだけ眠気をこらえて、展望デッキへと向かいました。

01時02分、船は瀬戸大橋の下を通過。
先ほどの来島海峡大橋とは違い、照明が多く、橋の全体がはっきりと見えました。

カメラで撮っても美しく映りますが、やはり肉眼で見る迫力は別格です。
充分に眺めて満足したところで、部屋へ戻り3時間ほど就寝しました。

04時25分、船は明石海峡大橋の下を通過しました。
この橋もライトアップはされておらず、まわりはほとんど真っ暗。

まさかの、今回通過したすべての橋がライトアップなしという結果でちょっと残念。
見応えは控えめでした。

もうすぐで、レストラン開店の時間。
レストランの開店まで、部屋でゆっくりと過ごしました。

05時00分、レストランがオープン。
セットメニューがいくつか用意されている中、鯖定食を選びました。
鯖定食に該当する料理を棚から選んでトレーに乗せると、自動的に鯖定食として判定され、
単品で購入するよりも少しお得になる仕組みでした。

朝食は鯖と目玉焼き、小鉢料理はひじき煮と豆腐を選択。
お会計を済ませ、席へ向かいました。

久々に食べた鯖がとても美味しかったです。
食事が終わる頃には泉大津周辺の陸地が窓から見えました。

05時45分、到着15分前のアナウンスが船内に流れました。
ロビーにはすでに多くの乗客が集まってきました。

そして15分後、船は定刻通り6時に泉大津港へ到着。
港に縄が張られ、下船が始まりました。

私も部屋へ戻り、荷物をまとめたあと、室内を見回して別れを告げました。
そして船を降りました。

ターミナルの前では、泉大津方面行きの送迎バスが待機していました。

停車駅は、泉大津駅とJR和泉府中（いずみふちゅう）駅の二つ。
和泉府中駅に降りる乗客のみ片道270円の運賃がかかります。

すべての乗客が乗り込むと、バスは06時12分に出発しました。

06時52分、バスはJR和泉府中駅に到着。
乗客を降ろすと、バスはあっという間に駅を去って行きました。

この駅から大阪駅までは約1時間、関西空港まではおよそ30分。
関西空港・和歌山方面が目的地であれば阪九フェリー、大阪市内方面なら名門大洋フェリー。

行き先に合わせて、乗るフェリーを選んでみるのもひとつの方法かもしれません。
どちらのフェリーにも、それぞれの良さがあります。

私はこのまま関西空港へ向かい、次の旅路につきました。

■船乗り場：阪九フェリー 泉大津港乗り場
■住所：〒595-0074 大阪府泉大津市小津島町1-3
■営業時間：9:00～最終便出航まで

■船乗り場：神戸六甲アイランド港
■住所：〒658-0031 兵庫県神戸市東灘区向洋町東3丁目2-1
■営業時間：9:00～最終便出航まで

■船乗り場：新門司港
■住所(神戸行き第1ターミナル)：〒800-0113 福岡県北九州市門司区新門司北1-1
■住所(泉大津行き第2ターミナル)：〒800-0113 福岡県北九州市門司区新門司北1-1
■営業時間：9:00～最終便出航まで（第2ターミナルの乗船券の発売は、15：00～最終便出航まで）

■名称：明石海峡大橋(アカシカイキョウオオハシ)
■開通日：1998年4月5日
■場所：兵庫県の神戸市〜淡路島の間
■橋の長さ：全長3,911m

■名称：瀬戸大橋(セトオオハシ）
■開通日：1988年4月10日
■場所：四国〜本州の間
■橋の長さ：全長12,300m

■名称：来島海峡大橋(クルシマカイキョウオオハシ）
■開通日：1999年5月1日
■場所：愛媛県今治市〜大島の間
■橋の長さ：全長4,105m