九州郵船フェリーちくし乗船記｜博多〜壱岐・対馬｜旅ブログ

21時50分、福岡県福岡市「博多駅」。
本日乗船するのは九州郵船「フェリーちくし」。
目的地は対馬の厳原港。
壱岐島を経由して対馬へ向かう航路。
約5時間の船旅です。

船乗り場は「博多ふ頭第2ターミナル」。
これから博多駅前から出ている港行きのバスに乗ります。
22時05分にバスが出発。
博多ふ頭までは、バスで約15分（240円）でした。

22時20分、博多ふ頭に到着。
バス停からターミナルまでは、徒歩1分ほどの距離でした。
ターミナルの1階から入り、2階の窓口へ向かいます。

博多ふ頭第二ターミナルには、野母商船と九州郵船の2つの船会社が入っています。
野母商船は長崎の五島列島行き、九州郵船は壱岐・対馬行きです。

とりあえず九州郵船の窓口で手続きを済ませ、乗船券を受け取りました。

ターミナルないの待合所では、迷彩服を着た方々も待機していました。
対馬に駐屯地があるため、この船は自衛隊員の方々にも利用されているようです。

そして23時57分、乗船開始。
出港は0時05分なので、ほとんど間をおかずに乗船が始まりました。
割と時間ギリギリに始まるんですね。

今夜の寝床は、船内で唯一の個室「1等室」。
最も高い部屋ですが、少しクセのある客室です。

というのも、乗船率が高い日には相部屋になる可能性があるからです。
高いお金を払って個室を選んだのに、状況によっては他の人と一緒になることも。
個室とは一体…？

それなら、最初から安い相部屋を選んだほうが良いのではとも思うけれど、それもまた悩ましいところです。

部屋には、4人分の枕と毛布が用意され、ハンガー、姿見の鏡、空気清浄機も完備されていました。

部屋で荷物を整理していると、乗務員さんがバインダーを手に訪ねてきました。
どうやら、レイトチェックの案内で各部屋を順番に回っているようです。

船は翌朝4時45分に厳原港へ到着予定。
通常ならその時間に下船ですが、レイトチェックを申し込めば、朝7時まで船内で過ごせます。

私は到着後、07時03分発の始発バスに乗る予定だったので、時間的にもぴったり。
迷わずレイトチェックをお願いしました。

そのあと、展望デッキへ向かいました。

0時05分、船は定刻通りに博多港を出港しました。
しばらくすると、船内にアナウンスが流れます。

「本日は九州郵船、フェリーちくしをご利用くださいまして誠にありがとうございます。」
「本船の壱岐（芦辺港）入港は2時15分、対馬（厳原港）入港は4時45分頃を予定しております。」
「0時30分になりましたら、客室の減灯をさせていただきます。」
「それでは、各港への入港までごゆっくりお休みくださいませ。」

アナウンスを聞き終えたあと、少しだけ船内を散策。
そして部屋に戻り、1時間ほど仮眠をとりました。

2時15分、船は芦辺港に到着。
すぐに下船が始まりましたが、降りる乗客はごくわずか。
わずか5分ほどで、下船はあっさりと終了しました。

2時25分、船は定刻通りに芦辺港を出港。
いよいよ最終目的地・対馬へと向かいます。

私も再び部屋に戻り、2時間ほど仮眠をとりました。

4時45分、船は対馬・厳原港に到着しました。
最初の下船が始まると、多くの乗客が次々と降りていきます。

その後、船内を見て回ったのですが、大部屋の乗客たちの姿はすっかり消えていました。
乗船時には30人以上いたはずのその部屋も、今ではもぬけの殻。

1回目の下船が終わると、タラップ（船の橋）はいったん切り離され、しばらくは下船できません。

そして05時06分、船内のすべての電源が一瞬、落ちました。
数秒後には復旧しましたが、空気清浄機や照明は停止し、部屋は無音の空間に。

いつの間にか1時間ほど眠っていました。

6時20分ごろ、自販機でカップ麺（250円）と水（150円）を購入し、軽めの朝食。
ただ、お湯は1階にしかなかったため、わざわざ汲みに行くのが少し面倒でした。

朝食は、1等室の乗客だけが入れる特別な場所——最上階の「スカイラウンジ」で。
360度ガラス張りの開放的な空間で、どの席からでも外の景色を楽しめます。

食後は、ラウンジに隣接する屋外デッキに出て、少し風にあたって気分転換。
しばらくして、乗務員の方が「ただいまから下船いただけます」とアナウンス。

部屋に戻って荷物をまとめ、静かに船を降りました。

ターミナルの前には、比田勝行きのバスがすでに待機していました。
私はそのバスに乗り込み、対馬をさらに北へ。

07時03分、バスは定刻通りに厳原港を出発。
比田勝までの所要時間はおよそ2時間25分。
意外と長い道のりです。

のんびりと島の風景を眺めながら移動したかったのですが、とにかく眠い。
ほぼ寝たまま、壁にもたれながら過ごしました。

この時間帯はちょうど通学ラッシュ。
途中のバス停からは、制服姿の学生たちが次々と乗り込んできました。

対馬には高校が3つ——上対馬高校、豊玉高校、そして厳原高校。
なかでも、厳原から豊玉町へ通うには、バスでおよそ1時間。
始発に乗らないと間に合わない距離です。

毎朝この路線を行き来する対馬交通のバスは、まさに島のライフラインです。

09時28分、比田勝バス停に到着。
バスを降りる直前、運転手さんとの何気ないやり取りがありました。

私：「このバスって、比田勝港に止まりますか？」
運転手：「止まんないよ。終点は国際ターミナルだよ。」
運転手：「…で、君どこから来たの？」
私：「福岡から来ました！」
運転手：「違う違う（笑）どこから乗ってきたの？」
私：「あっ、厳原港からです！」
運転手：「なら、フリーパスのほうが安いよ。これ1,040円で、今日一日どこでも乗れるから。」
私：「えっ！ありがとうございます！」
運転手：「このバスは国際ターミナルが終点だからね。よろしく頼むよ〜。」

寝不足でぼんやりしていた私に、最安のチケットを提案してくれた運転手さん。
本当にありがたかったです。

ちなみに、厳原から比田勝まで通常の片道運賃は3,380円。
それが、1日フリーパス（1,040円）で済むなんて、破格の差。
対馬の印象がぐっと良くなった瞬間でした。

なお、このフリーパスはバス車内で直接購入可能。
「1日フリーパスください」と運転手さんに伝えればOKです。

これから対馬を旅する方の参考になればうれしいです。
とりあえず、近くのスーパーで朝ごはん買ってきます。